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「太陽光発電が原発XX基分に相当」という誤解


太陽光発電について、新聞やテレビのマスコミなどの報道で「原発XX基分に相当する」という表現を見聞きすることがよくあります。

たとえば、
「住宅用太陽光発電の国内累計導入量が600万キロワット(kw)近くまで伸びる見通しになった。これは原子力発電所6基分に相当する。

「固定価格買い取り制度開始から約2年で事業用太陽光発電の設備容量の認定(設置未完)が7,000万キロワット(kw)を超えた、これは原子力発電所70基分に相当する。

「茨城、栃木、群馬の北関東3県では国の認定を受けた(設置未完)太陽光発電施設の出力は3月末時点で895万キロワット(kw)に上った。これは原子力発電所9基分に相当する。

という記事ですが、このほかにもこの類の記事を見聞きすることがよくあります。
記事を読んだ人の多くは、「これだけの太陽光発電があれば原発XX基分と同じだけの働きをする」と考えるでしょう。
結論から申しますと、はっきり言ってこの考えは誤りです。
その理由を以下に説明します。
断っておきますが、この類の記事が決して嘘を書いているのではなく、誤った(理解不足の)考えのもとに書かれたものと思われます。

原発1基分の「出力」は平均100万キロワット(kw)といわれています。

これらの記事は、原発1基分の「出力」100万キロワット(kw)と、これらの太陽光発電の「出力」をくらべて原発何基分に相当するか換算しています。
つまり、太陽光発電設備の大きさと原発1基分の大きさだけをくらべて計算しています。ここが「誤り」です。

発電設備の大きさ(規模)を表すには「出力」または「容量」という表現で、単位はkw(キロワット)で示されます。
発電設備の大きさ(規模)を表す「出力(kw)」というのは、「発電設備がフル稼働して生み出す最大のパワー」のことです。
言い換えれば、(大きさを表す)「出力(kw)」というのは、発電設備が頑張って働いた時(一瞬でも)生み出すことのできる最大電力(kw)のことで、(働きを表す)「電力量(kwh)」とは意味合いが異なります。

発電設備の「働き」をくらべるには、大きさ(規模)に相当する「出力」だけを比べても意味が無く、どれだけの時間稼働するか(稼働できるか)を考えなければ意味がありません。
つまり、「出力」が「どれだけの時間」生み出されたか、を考えなければ比較できません。
「出力」が「どれだけの時間」生み出されたか、ということは「発電量」はどれだけか、ということです。
発電設備の働き」を比べるには、この「発電量」を比べなければ意味が無いのです。
発電設備の大きさ(規模)」は「出力(kw)」で表され、
発電設備の働き」は「発電量(kwh)」で表わされる、
ということを理解していないから冒頭のような記事になるのでしょう。
いくら大きな発電設備でも、働く(働ける)時間が短ければ多くの電力量(発電量)を生み出すことができないのです。

発電量」は、「出力(kw)X 稼動時間(h)」という数式で表され、単位は「kwh」で示され「キロワット時」と呼ばれます。
このような訳で、「発電量」の単位「kwh」(キロワット時)には「h」(時)が付きます。
ちなみに、電力を使うときの「消費電力量」も単位は「kwh」(キロワット時)で、「h」(時)が付きます。使った電気料金も「kwh」(キロワット時)に基づいて計算されます。
電力量」というものは、発電するときも消費するときも時間の観念が入った数量で捉えなければならないのです。
たとえば、
出力5kwの太陽光発電システムが3時間発電したとしたら、
発電量(kwh)」=出力5kwX3時間(h)=15(kwh)となります。
一方、消費電力0.5kwの電気こたつを12時間使ったとしたら、
消費電力量(kwh)」=消費電力0.5kwX12時間(h)=6(kwh)となります。
この15(kwh)、6(kwh)という数値を捉えなければ、比べることも、考えることも、論じることもできないのです。

出力で原発6基分」という「出力ベースの換算」であることを一応断ってはいる記事もありますが、中には「発電量の総計」という表現を使い、誤りを上塗りしている記事もあります。

いずれにしても、記事を読んだ人の大半は「このような太陽光発電が原発XX基分と同じだけの働きをする」という誤った解釈をするに違いありません。

記事を書いた人の大半も「このように」思い込んでいるのでしょうか?

なるほど、どの記事も単位が「キロワット(kw)」となっており「キロワット時(kwh)」となっていないので、専門分野の人が注意深く正確に解釈すれば「出力ベースの換算」であるとも読みとれますが、一般の人が読めばどうでしょう?。

「太陽光発電が原発と同じだけの働きをする」ということは
「同じだけの発電量を生み出す」ということになります。
つまり、「出力ベースの換算」でなしに「発電量ベースの換算」で考えなければ誤解が生じます。

上にも記述していますが、太陽光発電も原子力発電所も他の火力発電所も大きさや規模を表すのに出力「キロワット(kw)」という単位を使います。
出力」というのは、発電設備の最大(定格)出力、または容量とも呼ばれ発電設備の大きさ、規模、能力を表します。
発電量」というのは、発電設備が稼働した期間(時間)を掛けて表わします。
つまり、出力(kw) X 稼働時間(h)= 発電量(kwh)
という算式で表わされます。

発電量」は通常年間で計算します、単位は時間(h)で、
   1年間の時間=365(日)X 24(時間)= 8,760(時間h)
となって、1年に8,760時間を定格出力で稼働すれば、稼働率は100%となります。(稼働率は設備利用率と同じ意味です)

原子力発電所や火力発電所などでは、保守、点検やメンテナンスがありますので稼働率は80%〜60%で、平均70%といわれています。
つまり、1年間の平均稼働時間は 8,760(h)X70% = 6,132(h) となります。

一方、太陽光発電が稼働する時間は晴れた日の昼間だけで、夜間や雨や曇りの日はほとんど稼働しません。
一般に、年間通して太陽光発電の稼働時間は、天候や日照時間などから平均して1日あたり2.8時間といわれています。
以外と短時間のように思われますが、発電するのは晴れた日の昼間だけで、雲一つない快晴の日で、フルに発電するのは9時〜15時の間で6時間です。
年間の日照時間等から平均的に1日(24時間)あたり2.8時間と設定されています。

したがって、1年間の平均稼働時間は、
   2.8時間 X 365日 = 1,022時間  となって、
稼働率は、年間8,760時間(24時間X365日)を100%とすると、1,022時間は11.7%に過ぎません。

1年間に、原発は6,132時間も働くのに、
太陽光発電はいくら頑張っても1,022時間しか働くことができません。
年間に、原発は太陽光発電の6倍の時間働くことができます。
出力」が同じであれば、6倍の時間働けば「発電量」は当然6倍になります。
すなわち、
原発1基を100万キロワット(kw)とすると、太陽光発電は6倍の600万キロワット(kw)原発1基分に相当することになります。

それぞれの年間の発電量を検算を兼ねて求めてみます。

原発1基の年間の発電量は、
出力100万キロワット(kw)として、
年間の稼働時間は6,132(h)(稼働率は70%)だから、
   原発の年間発電量(kwh)
     =100万(kw)X6,132(h)=61億3,200万(kwh)

一方、太陽光発電の年間の発電量は、
出力600万キロワット(kw)として、
年間の稼働時間は1,022(h)(稼働率は11.7%)だから、
   太陽光発電の年間発電量(kwh)
     =600万(kw)X1,022(h)=61億3,200万(kwh)

となって、どちらの年間発電量も同じで61億3,200万(kwh)となります。

ちなみに、
我が国の年間の総発電量は約1兆kwh(キロワット時)です。(当然、年間の需要電力量もほぼ同じです。)
我が国の電力を全て原発で賄うとしたら、何基の原発が必要か?ごく大雑把につかんでみます。
     1兆(kwh)÷ 61億(kwh) ≒ 164  
となって、約164基の原発が必要です。
現在(2011年当時)我が国には54基の原発があります。
ちょうど現在の3倍の原発が必要になります。
安全面を考慮した稼働率の予測などかなり変動する要素を含んでおり、我が国の電力を全て賄う原発は現在の4〜5倍(200〜250基)必要という説もあります。
少なくとも、最低200基は必要と思われます。

冒頭の三例の記事を正確に表現すると、次のようになります。
「住宅用太陽光発電の国内累計導入量が600万キロワット(kw)近くまで伸びる見通しになった。発電量ベースで換算すれば、これは原子力発電所1基分に相当する。」

「固定価格買い取り制度開始から約2年で事業用太陽光発電の設備容量の認定(設置未完)が7,000万キロワット(kw)を超えた、発電量ベースで換算すれば、これは原子力発電所12基分に相当する。」

「茨城、栃木、群馬の北関東3県では国の認定を受けた(設置未完)太陽光発電施設の出力は3月末時点で895万キロワット(kw)に上った。発電量ベースで換算すれば、これは原子力発電所1.5基分に相当する。」

となります。

参考までに、
全国の太陽光発電(住宅用も産業用、事業用全て含めて)は、設置が完了した容量(出力)の総計が1,300万kwを超えました。これはほぼ原発2基分に相当します。(2014年5月現在)
 
 




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